2015年4月1日
会長 和田時夫
2015年3月21日に東京海洋大学で開催された2014年度通常総会の決議により、水産海洋学会は4月1日付で一般社団法人に移行しました。
これにより、1964年に水産海洋研究会として創立されて以来50有余年の歴史を持つ本会は、法人格を持った学術団体として新たなスタートを切ることになりました。
2012年から足掛け3年にわたる法人化の検討の過程では、本会の内外から多くのご意見やご助言をいただきました。
また、最終的な法人化への意向の確認においては、ほぼ全ての会員の皆様のご承認をいただきました。深くお礼申し上げます。
近年、研究機関や学術団体に対しても、そのガバナンスやコンプライアンスに対する社会的な関心が増大しています。
今回の法人化は、その活動に社会的な責任を負っている学会として、組織運営のガバナンス、コンプライアンス、ディスクロージャーの向上を通じて、
経理上や運営上の事故の防止や事故が発生した場合における組織や会員への被害の軽減を図ることに第一の意義があります。
また、本会が学術団体に相応しい法人格を取得することで、地域研究集会の企画・実施をはじめとして、公的機関に所属する会員の本会における活動を容易にするとともに、
本会と公的機関の連携関係の強化にも貢献すると考えています。
「少子・高齢化の進行」、「資源・環境・エネルギーの制約の強化」、「内需の減少」など、成熟したわが国社会が抱える課題が顕在化しており、次世代へ向けたわが国水産業のあり方が問われています。
こうしたなかにあって、漁業や養殖業の現場の課題に立脚して水産海洋研究の発展と産業技術の振興を目指す本会の役割には益々大きなものがあります。
一般社団法人への移行を契機に、水産海洋学を、水産学と海洋学の境界領域を担うだけではなく、他とは区別可能な方法論を持った学術領域として発展させるとともに、
その成果を広く社会に対して還元できるよう、本会の活動をより一層拡充させていきたいと考えています。
一般社団法人への移行を機に、多くの先輩諸兄のご努力により築かれてきた本会の実績と伝統を引き継ぎ、
次の50年へ向けた基盤固めを進めていきたいと考えています。本会の運営や活動状況については、これまでと同様、節目々々で会員の皆様へご報告し、
評議員を通じて、また会員の皆様から直接にご意見を伺いながら進めていきます。改めて、会員の皆様の本会の運営に対するご協力と各種の活動への積極的なご参加をお願いします。