水産海洋研究会創設時の目標は「水産学・海洋学の研究者と漁業者との対話に重点を置きながら、生物資源と環境の相互作用を明らかにし、 水産業の発展に寄与する」ということにあり、各地で漁業が直面している問題を取り上げ、現場と密着した研究を進めてきた。
創設時の代表宇田道隆博士は水産海洋学の狭義の定義として「水産資源の開発、増殖、利用、保存に関する海洋学であり、 漁況変動の予報手段を与えるもの」としている。したがって、主な研究領域として、
近年、本学会で投稿やシンポジウムで活発に取り上げられている研究分野としては、従来からの生物分布と海洋環境に関連する研究の他、 計量魚探、人工衛星等を用いたアプローチや、資源解析的手法やモデルを用いたアプローチなどにより、生態系の変動過程そのものに焦点を当てたものが増えている。 対象とする海域も日本周辺だけでなく国際的な広がりを見せている。
これは、国際的なコンセンサスとして水産海洋学の定義が「水産資源豊度とその利用可能性に関わる海洋生態系間の関係および海洋生態系に影響を及ぼす海洋プロセスの研究」 (P. Harrison and T. Parsons, 2000)というように変化していることに対応している。
本学会の研究発表大会は毎年夏(首都圏と地方と交互)に開催する。この大会時と年度初めには全国の会員に共通するテーマで水産海洋シンポジウムを行う。
また、日本周辺の各海域に特異的なテーマについて地域シンポジウムを毎年開催しており、 北海道、常磐鹿島、相模湾、熊野灘、広島湾などの海域で特に活発な活動を続けている。