第5回伊勢・三河湾の環境と漁業を考える
— 豊かな海と魅力ある漁業の再生を目指して —
共 催: 水産海洋学会、愛知県水産試験場、三重県水産研究所
後 援: 愛知県漁業協同組合連合会、三重県漁業協同組合連合会
日 時: 2009年12月5日(土)13:00〜17:00(受付12:30〜)
会 場: 鬼崎漁業協同組合(常滑市蒲池町三丁目97番地)
コンビーナー: 中村元彦・岡本俊治(愛知水試漁生研)、黒田伸郎(知多農林水事)、 水野知巳・藤原正嗣(三重水研鈴鹿)


 
開会挨拶:水産海洋学会長 桜井泰憲(北大院水産)
13:00〜13:05
趣旨説明:コンビーナー  中村元彦(愛知水試漁生研)
13:05〜13:10
基調講演
「水産生物の利用の歴史」
印南敏秀(愛知大)
13:10〜14:00
1.伊勢・三河湾における漁業の変遷
座長:岡本俊治(愛知水試漁生研)
(1) 伊勢湾における漁業の変遷
水野知巳・藤原正嗣(三重水研鈴鹿)
14:00〜14:30
(2) 伊勢・三河湾における高度成長期以前の漁業
黒田伸郎・日比野学(知多農林水事)
14:30〜15:00
(休憩:15:00〜15:10)
2.底生生物の利用の現状と問題点
座長:水野知巳(三重水研鈴鹿)
(3) 伊勢湾の底生生物群集と小型底びき網における未利用生物投棄の実態
宮脇 大(愛知水試漁生研)・加藤優志(大阪大外語)
15:10〜15:40
(4) 三河湾潮下帯の貝類資源の生態と漁業の現状
岡本俊治(愛知水試漁生研)
15:40〜16:10
総合討論 座長 中村元彦(愛知水試漁生研) 16:10〜17:00
開催趣旨:
 伊勢・三河湾では,戦後の復興とともに栄養塩の負荷が増大し,1960年代以降,多くの干潟・浅場が埋め立てられてきた.このため,遊泳性の魚類は増加したものの,夏期に恒常的に貧酸素水塊が発生し,ナマコやアカガイなどの底生性の資源が激減した. 1990年以降は温暖化に起因すると考えられる貧酸素水塊の規模拡大にともない,貧酸素化に比較的強いとされるシャコなども減少している.こうした内湾環境の悪化に対して,下水処理場の機能高度化を含む窒素・リンの総量削減が行われているが,大きな改善には至っていない。
 環境改善に有効な対策を立てるためには,環境の良かった過去と比較し,環境悪化の原因を解明することが重要と考えられる。そこで,歴史的な記載や人の記憶を基に過去を振り返り,漁獲量などの限られた定量的なデータと合わせて環境の良かった頃の海をとりまく状況の再現を試みる.総合討論では,水産生物の利用状況に反映されると期待される当時の物質循環や生態系の構造に着目し,現在との比較により問題点を抽出し,貧酸素水塊の規模拡大や底生性資源の減少等の問題解決へのアプローチを考えていきたい.