内湾・沿岸域における透明度の変遷は何を示すか? -環境と水産資源との関わり-
共 催:
水産総合研究センター中央水産研究所
日 時:
2008年9月11日(木) 09:00〜15:00
会 場:
高知グリーン会館(高知市本町5-6-11)
コンビ−ナ−:
市川忠史(水研セ中央水研)・津本欣吾(三重水研)・上田幸男(徳島水研)
挨拶:渡邊良朗(水産海洋学会 会長)・井上 潔(中央水産研究所 所長)
9:00 〜 9:10
趣旨説明:市川忠史(水研セ中央水研)
9:10 〜 9:20
基調講演
座長:
川崎 清(水研セ中央水研)
1. 変化する沿岸海域の生産性:透明度と生産性の相互作用
○藤原建紀(京大院農)
9:20 〜 10:20
座長:
上田幸男(徳島水研)
2. 東京湾における透明度の長期変動について
○石井光廣(千葉水研セ)
10:30 〜 10:50
3. 伊勢湾における中・長期的な透明度の変動と漁業生産
○藤田弘一・水野知巳(三重水研鈴鹿)・久野正博(三重水研)・
中村元彦(愛知水試漁生研)
10:50 〜 11:10
4. 紀伊水道の透明度変化について
〜歴史的資料を紐解く 漁業との関連は?〜
○鎌田信一郎(徳島水研)・吉村晃一(和歌山水試)
11:10 〜 11:30
5. 豊後水道東岸域における植物プランクトン生産構造の変動
○山下亜純・小泉喜嗣(愛媛水研セ)・井関和夫(広島大院生物圏科学)
11:30 〜 11:50
座長:
津本欣吾(三重水研)
6. 相模湾の透明度とカジメ群落分布の変遷
○木下淳司(神奈川水技セ相模湾試験場)・山田佳昭(神奈川水技セ)
13:00 〜 13:20
7. 駿河湾および遠州灘における透明度の長期変動
○萩原快次(静岡水技研)
13:20 〜 13:40
8. 土佐湾における透明度と環境要因との関係
○市川忠史(水研セ中央水研)・山本 順(高知水試)・
広田祐一(水研セ中央水研)
13:40 〜 14:00
9. 日向灘における透明度の長期変動
○渡慶次 力・林田秀一(宮崎水試)
14:00 〜 14:20
10. 総合討論
座長: 市川忠史(水研セ中央水研)
14:20 〜 15:00
開催趣旨:
1980年代以降,内湾・沿岸域では漁業生産の低下が続いている。資源回復のために漁獲規制や禁漁などの措置がとられても資源が回復しない例が多い。富栄養化,貧酸素水塊の発生,藻場・干潟の消失といった生息環境の悪化,さらに長期的な水温上昇も含めた環境変化によってもたらされた海洋生態系の変化など,多くの要因を考えることができる。
特に,生態系の高次に位置する魚類など水産資源への影響は,数年から数十年にわたる長期環境データの解析と合わせた検討が不可欠である。近年,有明海,伊予灘・別府湾,徳島県沿岸などで透明度の上昇傾向が報告されている。透明度の変動要因は季節や海域によって大きく異なる.漁業生産の低迷と合わせて,海域でどのような変化が起きているのか突き止めることが必要と考えられる。
そこで,本シンポジウムでは「生物生産」,「長期環境変動」,「海域共通」をつなぐ指標として「透明度」をとりあげる。中央ブロックの水産業関係試験研究機関では,透明度をはじめとした環境データが長期にわたり調査・蓄積されている。こうした貴重なデータを整理し,内湾・沿岸域の透明度の数年〜数十年スケールの変動ならびに海域間の差違を明らかにし,内湾・沿岸域における海洋環境の現状を把握する。
また,透明度の変動と海域の生物組成,漁獲量などの変動を比較し,漁業生産低下の要因にまで踏み込んだ考察を行った上で,不足している情報を抽出し,今後どのような調査,研究が必要か,研究の課題化と併せて検討する。