三陸沿岸における春季異常冷水の接岸と水産業への影響
−2006年の実態と既往の知見からその対策を探る−
日 時: 2007年1月11日(木) 10:00-17:00
開催場所: 浄土ヶ浜パークホテル 〒027-0001 岩手県宮古市日立浜町32-4
共 催: 水産海洋学会・岩手県水産技術センター・独立行政法人水産総合研究センター
後 援: 岩手県漁業協同組合連合会・岩手県信用漁業協同組合連合会・岩手県漁業共済組合・岩手県漁船保険組合・全国共済水産業協同組合連合会岩手県事務所・岩手県漁業信用基金協会・岩手県漁業士会
コンビ−ナ−: 後藤友明(岩手水技セ)・平井光行(東北水研)・関口勝司・井ノ口伸幸・野田口倉吉(岩手水技セ)


 
開会
挨拶
10:00-10:10
水産海洋学会長 渡邊 良朗
岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長 大井 誠治
趣旨説明:後藤友明(岩手水技セ)
10:10-10:20
1. 東北海区に見られる春季異常冷水現象
10:20-12:00
座 長:平井光行(東北水研)
1-1東北海区における異常冷水の特性:平井光行・伊藤進一(東北水研)
1-2道東近海における沿岸親潮の分布と変動:河野時廣(北海道東海大)
1-3岩手県沖で観測された異常冷水現象:伊藤寛(岩手水技セ)
1-4親潮変動と大気変動の関係:海洋大循環モデルの結果から:野中正見(地球フロンティア)
2. 東北海区における海況変動に対する水産資源の応答
13:00-14:00
座 長:関口勝司(岩手水技セ)
2-1長期的な海況変動に伴う東北海域のプランクトン変動:田所和明(東北水研)・杉崎宏哉(中央水研)
2-2 春季の親潮南下に対する水産資源の応答:児玉純一(宮城水研セ気仙沼)
2-3 海況の変化とそれに対応した漁場の変化:為石日出生(JAFIC)
3. 三陸沿岸における2006年春季の異常冷水接岸と水産業への影響
14:00-15:00
座 長:3-1〜3 井ノ口伸幸(岩手水技セ),3-4 野田口倉吉(岩手水技セ)
3-1 2006年に青森県でみられた異常冷水とその影響:菊谷尚久(青森水総研セ)
3-2 2006年に種苗生産現場でみられた異常冷水とその影響:藤浪祐一郎(水研セ宮古)・大河内裕之(水研セ)
3-3 2006年に岩手県山田町でみられた異常冷水とその影響:内田明(山田町)
3-4岩手県の漁業現場における異常冷水の影響と対策について:小国泰明(岩手県漁業士会)
4. 異常冷水接岸に対する沿岸水産資源の影響
15:15-16:35
座 長:後藤友明(岩手水技セ)
4-1海況変動に伴う貝毒プランクトンの動態と異常冷水の影響:加賀新之助・関口勝司(岩手水技セ)
4-2海況変動に伴うアワビ資源の変動と異常冷水の影響:野呂忠勝(岩手水技セ)
4-3短期的な海況変動が仙台湾のイカナゴ資源と漁況に及ぼす影響:永島宏(宮城水研セ)
4-4海況変動に伴うヤリイカ資源の変動と異常冷水の影響:伊藤欣吾(青森水総研セ)
5. 総合討論
16:35-17:00
座 長:後藤友明(岩手水技セ)・平井光行(東北水研)
閉会
開催趣旨:
 東北地方北部海域では,2006年春季に極端な低温・低塩分水の接岸が観測された。本海域では,過去にもこのような異常冷水接岸を記録しており,それによって沿岸域における水産業に大きな影響がもたらされてきた。奥田 (1985)によると,東北海区に接岸する春季異常冷水は,オホーツク海解氷水に起源を持つ沿岸親潮水(Oi水)と呼ばれる低温・低塩分水の南下・接岸に起因することが指摘されている。東北海区では,東北区水産研究所と関係各県の研究機関によって本海域の漁況に大きな影響をおよぼす海況変動の予測技術開発が行われてきているが,ごく短期的な冷水接岸に関する予測技術は確立されていない。しかし,短期的な異常冷水の接岸は沿岸水産業への影響が極めて大きいことから,東北海区における異常冷水接岸のメカニズムを解明するとともに,その予測技術の開発や,水産業における対策を検討することが必要である。

 そこで,本集会は,2006年の異常冷水接岸の実態を明らかにし,過去に生じた異常冷水接岸の再検討に基づいてそのメカニズムを探るとともに,異常冷水が沿岸資源におよぼす影響を評価し,予測技術の現状と今後の展望の他,異常冷水の接岸による水産業への影響やその対策について現場の漁業者を交えて討論を行う。